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子供の頃、学校に行っている時間帯以外は、畑仕事の手伝いだった。仕事はきつく、子供にとっては重労働だった。友達と遊ぶこともできなかった。
雨の音を聞くと、子供の頃のことを思い出す。雨の音は、畑仕事に行かなくていいという合図だった。雨の日は、ほっとしていた。
それが今でも残っているのだろう。雨の音を聞くと、ほっとする。
そして、雨は美しかった。
早春の朝は格別だった。雨が上がり、芽がほんの少し膨らみかけた桑の樹の枝に溜まった一粒一粒の水滴が、日の光を閉じ込めて小粒の水晶玉になる。
先日、芽が出る前のモミジの枝に霧雨の水滴が溜まって、キラキラと輝く光景が目にとまった。懐かしさにほだされて、カメラを向けた。
が、想い出を超える写真にはならなかった。
想い出は頭の中で美しくなるものらしい。
