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カーテンを開けた。秋晴れの空が広がっている。前の公園のベンチに、高校生と思われる二人連れが座っている。
ふと、昔のことを思い出した。高校に通っていた頃、気になる女生徒が何人かいた。同じ学校に一緒に居るというだけで、楽しくもあり、苦しくもあった。憧れだったが、誰も振り向いてはくれなかった。
それでも、女生徒の友達はいた。特別に意識はしていなかったので、気楽に他愛のない話ができた。
中学時代、風邪を引いて寝ていたら、枕元のラジオから、エリーゼのためにが流れてきたこと。それは、同じ中学校の二つ年下の子が、音楽会で弾いたものだったこと。それに励まされて、元気になったこと。それ以来、ピアノが好きになったことなど、とりとめのない思い出話をした。
それから、1年ほど経って、学校に新しくグランドピアノが入り、ピアノ開きが行われた。その日、彼女は、生徒を代表して、ピアノを弾いた。エリーゼのためにだった。廊下で会ったとき、何か言おうと思ったら、目を潤ませて、「せちい、せちい」と叫んで、彼女は走り去った。
その声は、今なお、胸に突き刺さったまま。永遠に続きそうな、この快痛。
愛は時間の関数だと思った。
